僕は幼少期から高校卒業まで場面緘黙症した。
「場面緘黙症ってなに?」という方に一言で説明しますと、
学校のような集団生活の中に入ると、”まったく話せない”状態(無口)になってしまうことです。

学校では一言もしゃべれない生徒といった感じです。
僕が高校3年のとき、場面寡黙の影響で友達ができず一時期不登校を経験しました。
その後、単位ギリギリで高校を卒業することができ、一年間浪人して私立大学(工学部)に入学。
大学卒業後は長い社会生活へ……
幼少期から場面緘黙症だった僕は、新社会人になってからも大きな壁にぶつかり苦労の連続でした。
元緘黙の僕が、社会人になってからどのようなな苦労をしてきたのか? 本記事で包み隠さず発信していきます。
この記事を特に読んでもらいたいのは以下の人です。
- 場面緘黙で悩まれてる学生さん
- 子供の場面寡黙で悩まれている親御さん
以下の願いを込めて、僕の苦い経験を発信していきます。
- 僕と同じような過ちを経験してほしくない
- 若い年齢から場面緘黙症の対策をしてほしい

この記事から、でもでも何かを感じてもられたら嬉しいです。
場面緘黙症とは?
・家庭では話すことができるのに、社会不安(社会的状況における不安)のため、ある特定の場面・状況では話すことのできなくなる疾患である。
子供が自宅では家族らと問題なく会話をしていても、学校や幼稚園など家の外では全く、あるいはそれほど話さず、誰とも話さないという例は多い。そして、その子供は非常に内気な様子に見え、グループでの活動に入りたがらなかったりする。
引用元:ウィキペディア
大学卒業後、都内で一人暮らしを始めて社会人となる
僕自身、毎年4月を迎えると社会人1年目の記憶が鮮明に蘇ってきます。
それと同時に思い出したくもないような苦い経験も頭の片隅に残っています。
ここからの話は僕の実話です。
反面教師だと思って深く考えず、気楽に読んでもらえると幸いです。
①:東京都内で一人暮らしを始める
僕は大学卒業後、就職に備えて関東圏内の実家から東京都内で一人暮らしを始めました。
入社式(4月1日)の2週間前に勤務先近くのアパートに引っ越したのです。
- 「これまでの自分を変えていきたい」
という強い気持ちがあり、両親には一人暮らしを始めるにあたり資金面でも大きな負担をかけてしまいました。
このときの心境としては「もうやるしかない!」という気持ちしかありません。
とはいえ実際は相当な不安感がありました。
住みなれない土地での一人暮らしスタート。
知り合いが誰もいない土地。
それと社会人1年目の新しいスタート。
4月1日の入社日を控えて緊張感が増してくるのが自分でも分かりました。
ただ心機一転、新しい環境でなんとかやっていけるだろうという気持ちがあったのも事実です。
②:4月1日、入社式当日
入社式では僕を含めて同期が8人いました。
僕は浪人を1年間していましたが、ほぼ同年代が揃っていたので安心感がありました。
パッと見た第一印象では真面目そうな雰囲気の同期が多かったです。
やはり初めは人を見た目で判断してしまうものですよね…
ただし僕は幼少期から場面緘黙症の経験者。
当時は、自分から同期に話しかける”勇気”がありませんでした。
どちらかと言えば、向こう(同期)から話しかけられるまで待っていました。
ちょっとした世間話でさえ一苦労、、思い返すと社会人デビューもかなりの引っ込み思案でした。
入社式の初日から緊張感がフルMAX。
入社式後はパソコンの設定やメールの初期設定、必要なソフトのインストールなどを行いました。
とにかくパソコンを操作しているだけでも緊張感が続き、、手の汗が止まらなかったのを覚えています。
③:入社2日目から本格的な研修が開始

入社2日目からは、同期8人で本格的な新人研修がスタート。
研修では入社3~5年目の社員さんが講師になり、技術的な研修【電気電子系やプログラミングの基本的な知識】を受けました。
場面緘黙症だった僕にとって、毎日同じメンバーで研修を受けていると学生時代の授業を思い出してしまい緊張感と窮屈感を感じていたのです。
研修の中で分からないことがあっても自分から質問することができず。
これはもどかしかったです。苦しかったです。
講師の方から「何か分からないところある?」と聞かれないと質問ができませんでした。
心の中で「こんな質問したら恥ずかしいかも?」という自責の念で押しつぶされていたのです。
④:同期に気が合う人がいて安心感があった
幸いにも同期入社の中で気の合う同期が2人いました。
その同期をI君とM君とします。
研修が終わって会社から帰る途中、I君とは一緒にスーパーで買い物をする仲になっていました。
この時間は研修の緊張感も和らぎ「気の合う同期がいるっていいもんだなぁ」と思えた瞬間でもありました。
とはいえ社内では緊張が和らぐ感じがなく、常に緊張感に包まれていたのです。
自分自身の課題として、上司と会話するときに「まともな会話」ができていませんでした。
なんとなくぎこちない会話。
伝えたい考えを自分の言葉で思うように伝えられない。
それほど極度のあがり症(社交不安)でもありました。
毎日、なんとか研修を受けることができましたが、、入社して2週間で事件が起こります。
入社して2週間で”出社拒否”状態に陥る

入社して2週間足らずで、僕は会社に行けなくなったのです。
学校でいうなら登校拒否。
社会人でいうなら出社拒否。
朝起きて会社に行くのが辛くて、憂鬱になってしまったのです。
職場の緊張感と新人研修で覚えることの多さにメンタルが限界に到達していました。
このとき、僕は過去を思い出しながら、、
- 「やっぱり自分は人間関係がうまくいかないんだなぁ…」
情けない自分自身を責めました。
場面緘黙症と真剣に向き合わないまま大人になってしまった事の悲劇。
いわゆる社交不安障害になっていたのです。
①:上司・同期からの着信が鳴り響く‥
朝は布団から起きられたものの、会社に出社するのが怖くなり布団の中で悶々としていました。
出社時間(9:00)になっても僕が会社にいないため、上司や同期から携帯に着信が入ります。
僕は電話がきても出ないまま、、布団に横になり悩み苦しんでいました。
「上司や同期に心配をかけてしまうのは申し訳ない」と思い、教育担当であった上司の電話に出ることにしました。
当時の話の内容はよく覚えていませんが、、相当心配してくれていたようでした。
一人暮らしをさせてくれた両親にも迷惑をかけられません。
職場には心配してくれる上司や同期がいる。
そう思うと「会社に行かなければ…」と、自分の気持ちを奮い立たせました。
そこから急いで身支度を終え、1時間半ほど遅刻しながらも会社に出社。
会社に着いてみると、事務のお姉さんや上司、同期が暖かく迎えてくれました。
この時、僕は率直に「救われた…」と。
それと同時に、遅刻して出社しても暖かく迎え入れてくれた職場の雰囲気に「何があっても、ここで頑張ろう」と強く決心できたのです。
もし上司から「入社そうそう、遅刻してなにしてたんだ!」と罵倒されていたら、、この会社で頑張れていなかった思います。
②:諦めたらそこで試合終了になっていた
僕自身が会社に行くことを諦めていなかったのも大きなポイントでした。
漫画スラムダンクで有名になっている安西先生の名言
安西先生「諦めたらそこで試合終了ですよ。」
という言葉の通り、ここで諦めていたら新社会人生活そのものが終了していたと思います。
ここで完全に出社拒否をしていたら、、一人暮らしをさせてくれた両親にも迷惑をかけていました。
とはいえ、無事に出社拒否は免れたものの職場での緊張感は続きます。
それと、この悲劇をきっかけにメンタルクリニックに通院を開始しました。
当時の担当医師には「職場に出社すると緊張感が続いてしまう」と伝え、緊張感を緩和させるお薬を処方してもらいました。
このお薬を服用しながら職場に行くことで気分的にも徐々に楽になり、その後は出社拒否することもなく研修を受けられるようになりました。
気持ちが安定してくるようになると、仕事内容にも興味が増し、仕事にやりがいを感じられるようになってきたのです。
その後も人間関係の悩みはありましたが、、
職場に慣れてきたことと、気の合う同期がいたことにより、うまくやりくりできるようになりました。

本当に辛くなったときは、メンタルクリニックに行くのもひとつの手です。
長い人生。無理に我慢しすぎないようにしていきましょう。
元場面緘黙症の僕が社会人デビューして苦労したポイント

元場面緘黙の僕が、社会人になってから苦労したなっていうポイントがあります。
それは、、、、
- 朝の朝礼当番での一言スピーチ
- 研修の成果発表のプレゼン
- 会議や打ち合わせでの発言
- 職場の飲み会
これらは苦痛でした。
朝礼の一言スピーチ
どの職場にもありそうな朝礼の一言スピーチ。
新卒入社した職場では2ヶ月に1回の間隔で「一言スピーチ」の当番がまわってきました。
ある日の朝礼スピーチで、緊張のあまり話すネタが飛んでしまい、、
頭が真っ白になってしまったことがあります。
このときは恥ずかしくて体中に大汗をかきました。
胸ポケットに忍ばせていたカンペを取り出して、スピーチをしたことを覚えています。
現在でもトラウマのように記憶として残っています。
会議や打ち合わせでの発言
会議や打ち合わせでの発言。
自分の発言に注目されるのは緊張感が増します。
とくに大きい会議によっては数十人が自分の発言を聞いているわけですから‥
場面緘黙症でしたので『大勢の前で自分の意見を発言する』経験値が低く、これも社会人になってから苦労したポイントです。
職場の飲み会
社会人になると厄介なのが職場の飲み会。
社会人になると定期的に会社全体の飲み会がありますよね。
定番の新入社員の自己紹介タイム。
周りの同期がユーモアたっぷりの自己紹介をしている姿。
僕にとってはかなりのプレッシャーでした。
案の定、僕の自己紹介は散々な結果に…苦笑。
新人歓迎会では、初めてお会いする社員さんの方々と話すのにも緊張しまくり。
新入社員はビール瓶を片手に、テーブルを回ってビールをつぎにいかないといけないのですが、、、
僕はほとんど動けませんでした。その場にいる地蔵のように…
動けなかったというより、地蔵のように動かなかったと表現したほうが正しいです。
帰宅してから落ち込んだのを覚えています。
社会人なりたての飲み会では、周りの先輩ともまともに会話できていませんでした。
それを考えると全ての失敗を経験してきて”今”があるんだなって改めて感じます。
新人1年目の僕は、人間関係で多くの”恥”をかきました。
今となっては良くも悪くも甘酸っぱい経験です。苦笑
場面緘黙症に悩まれている学生さんへ伝えたい事
この記事で書いたように、僕は社会人になってから人間関係・人付き合いで失敗の連続。
僕自身、元場面緘黙症で友達作りの経験値そのもののレベルが低かったのが原因です。
だからこそ、場面緘黙で悩まれている学生さん、その親御さんへ伝えたい。
社会人になるまえに…
- 人とのコミュニケーションを取る機会、場数を意識的に増やしてほしい
学生さんなら、バイトで人との接し方を学ぶことをおすすめします。
他者とのコミュニケーションの練習の場をえられて、なおかつお給料をもらえます。
年上の人と接する機会もあり、社会人になる前に対人関係スキルを身につけられます。
大学生になってからでもバイトに挑戦して、人生の経験値を増やしてほしいです。
とはいえ元緘黙経験者ですと、人と接する接客業のバイトは避けてしまいがちかもしれません。
軽作業のお仕事でも、人と接する機会やコミュニケーションの経験値を積めます。
まずは「経験値を積む」「実体験を増やす」これに尽きます。
学生時代のバイトは、若いので恥かいても全然許されます。
若いうちに失敗をたくさんして、経験値を積み上げていってほしいです。
僕のように社会人になって、極度の緊張やストレスで出社拒否にならないように、、”今”この瞬間を大切に生きてほしいです。
最後まで僕の体験談にお付き合いいただき、ありがとうございました。
※心が軽くなる本を紹介
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